コラム「共創展の視点」【第23話】売れる商品を創るために、多くの人を巻き込んでいますか?

「ヒラタさん、どんな体制で商品開発を進めるのがよいでしょうか?」

 先日、委託商品を開発したいということで、相談にお見えになった社長さんからお受けしたご質問です。

「コンセプトを議論するような早い段階から、できるだけ多くの部門や役割を担っている社員を含めてチーム体制を構築して下さい。特に、実際のターゲットユーザーに近い属性の人がいれば必ず加えて下さい。また、評価はできるだけ多くの人を巻き込むようにして下さい」とお答えしました。

これには、主に2つの理由があります。

1つ目は、多くの視点で、商品が揉まれていくことで完成度や魅力度が高まること。

2つ目は、商品開発が自分事になり、愛着も生まれるため、その後の開発や販売等の協力が得られやすくなること、です。

実際に、これまで携わってきた商品開発を振返ってみると、多角的な視点を早い段階から取り入れて開発を進めるケースと、そうでないケースとでは、明らかに商品の完成度や、その後の売行きが変わっています。

 

例えば、以前にご支援した飲食店の加工食品のOEM商品開発では、経営幹部をリーダーとし、シェフ、ホールスタッフ、販売担当者で開発チームを作り開発を進めました。普段の仕事では、別々の業務や役割を担っていますから、自ずと其々の立場・視点に立った意見が多くなります。こうした様々な視点が入る議論が商品開発においては重要で、正直言って多くの衝突も起こりますが、立場を超えて「より良い商品を創ろう」という所に全員が立った時には、必ず融合が生まれます。

また、評価には、殆どの社員、一部社員の家族、来店客に参加してもらいました。試食や調理を通じた食品自体の評価に加え、実際に日常生活の中で使ってもらい、保管から廃棄に至る一連の過程で容器や使い勝手まで含めて評価してもらいました。

こうした多角的な視点や評価を商品に反映させていくことで、商品の特徴や深みが増し、ユーザーの満足度が高い商品となっていきます。

最終的にこのクラアント企業さまでは、3種類の商品を開発し、数年経った今でも売行きは好調です。

また、日常業務に対するお互いの理解が深まったことで、普段の仕事の連携においてもよい関係が生まれるといった副次効果もありました。

 

最近、こうした多角的な視点を取り入れた商品開発の傾向がより顕著になっています。幾つかの成功例をご紹介します。

 

①山崎製パン「メロンパンの皮焼いちゃいました
 この商品は、製造や営業部門だけでなく、経理や総務などの女性社員も加えたプロジェクトチームを2014年5月につくり、約1年で4,000万個以上を売るヒット商品を生み出しています。

 

②マルエツPB「アイス Premo(プレモ)
 これまで、試食段階での評価は男性の店長や主任が中心でしたが、レジ業務部門の女性主任 約270人にも食べてもらい意見を収集するようにしました。この結果、女性好みのフレーバーや濃厚な味に仕上がり、多くの女性客から支持を得てシリーズヒットに繋がっています。因みに、1フレーバーにつき平均5~6回の試食を行っているそうです。

 

③西友PB「みんなのお墨付き
 消費者による試食テストを実施して、支持率が70%以上の場合のみ、正式に商品化しています。この結果、2012年12月の発売以来、売り上げも順調に推移し、2015年1~9月の売上数量・売上高は前年比約20%増を記録しています。

 

④セブン&アイ PB「セブンプレミアム
 商品の開発時や改良時には、以前より積極的に社員や消費者の声を反映する取組をしていましたが、今後よりその動きを加速するようです。2016.1.15の日刊新聞に次のような記事がありました。
「セブン&アイ・ホールディングス(HD)は商品開発にあたって、社員などからの意見や提案を積極的に取り入れる仕組みづくりを始める。2015年から本格展開を始めた店舗とネットの融合「オムニ7」のネット専用商品や、プライベートブランドの開発でこうした意見や提案を反映させる方針。ネット通販ではナショナルブランドは容易に価格競争に陥る危険性がある。”全員参加型“で独自性を持った商品を開発し、価格競争などを避ける狙い」

 

コンカレントエンジニアリングやテストマーケティングという概念は以前よりありましたが、関わる人達の範囲がより広くなり、フィードバックの掛け方も強くなっているため、多角的な視点が商品により色濃く反映される傾向にあります。

日本は消費市場が成熟していることに加え、国民性も手伝ってユーザーの評価は、世界で最も厳しいと言われています。逆に言えば、日本のユーザーに受け入られた商品は、世界でも通用します。ネスレなどの世界企業が日本市場を商品開発における最重要拠点と位置付ける理由でもあります。

このぐらい厳しい市場や評価の中で売れる商品をつくるためには、多角的な視点やユーザー評価を忠実に取り入れ、商品に反映させていくことが必要不可欠となります。また、今後益々この動きは加速していくでしょう。

なお、多くの視点や意見が入るため、それらを集約・統合していくための仕組みやルールもセットで考える必要があります。この点については、また機会をみてお話ししたいと思います。

 

貴社は、売れる商品を生み出すために、社員やユーザーの声を商品に反映する仕組みを作っていますか?

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